すげぇｗｗｗｗｗｗ

石先生…？

ちょｗｗｗｗジョニーｗｗｗｗｗｗｗ

「･･･終わった･･･」
最後の営業メールを送り終えた僕は閑散とした事務室で一人、静かに呟いた。
社員――といっても会社通いではなく、店舗スタッフとして働いている僕は毎日同じことの繰り返す日々、退屈な毎日を送っている。人付き合いの苦手な僕にとって店舗での接客という仕事は苦痛以外の何者でもなく、精神的にも参っていた。

「ふぅ･･･明日も十二時間労働か･･･しかも朝からって俺に寝るなって言ってんのか･･･」
僕はもうこの仕事に愛を持っていなかった。
責任者としての立場で接客をしていくうちに、人間の汚い部分が嫌というほど見えてきた。誰も彼もが自分本位、こっちは金を払ってるお客様なんだから何をしてもいいだろという考えを持っている。そんな人間を何人も見てきた僕の心は荒み、人間を信じれなくなってきた。
そしてついこの間までその中の一人だった自分を思い出し、自分の存在がとても汚いものに思えた。

以下いつもと変わりない長文レス↓

「･･･みんな、割り切ってやってるんだよな･･･」
僕にはできない。
ストレスをため続けている今の僕では常に笑顔でいることなんてできない。
これは僕が子供だからなのだろうか。それとも生まれ持っての性格だからなのか。後者であれば僕はこの仕事を続けることはできないだろう。
「またヒトカラでも行ってストレス発散でもするか･･･」
前回ヒトカラに行った時受け取ったレシートには、「ご利用回数：18回」と書かれていた。

（そういえば、この仕事を始めてから独り言が増えた気がする）

僕は職場のPCをネットにつないだ。本当は私用で使うことは禁止されているがもう僕には関係ない。店長に辞めたいという内容の長文メールを送ったら会社の偉い人が説教に来た時以来怖いものなんて何もなくなっていた。
そして僕はまっすぐに新都社のページを検索する。
「そういえば最近yahooで「新都」で検索したら一番上に来るようになったなぁ･･･前は新・都ホテルが一番上だったのに」
フフ、また独り言だと心の中で苦笑をしながら自分の漫画のコメント欄を開く。

僕は仕事終わりに自分の漫画へコメントかFAが来ていないか確認することが日課になっていた。
予想通りコメントは０。
「まあ更新してないから当然だよな･･･」
フフ、また独り言だと心の中で苦笑しながら読者ページを開く。
「FAなんて来てるはず無いよな･･･でもつい確認しちゃうのが新都作家の悲しいところだよなぁ」
フフ･･･また独り言だと心の中で苦笑しながら読者ページをスクロールしていく。
「お、リンゴスター物語のFAだ。面白かったからFAきて当然だよな･･････ん？」

僕の目に見慣れたキャラクター達が飛び込んできた。画力こそ違えど、そのキャラクター達の特徴は僕の漫画に登場するキャラクターにそっくりなのだ。
「まさか･･････！」
そう、それは僕の漫画に対するイラスト、FAだった。
「まさか･･･まさか･･･」
フフ、また独り言だと心の中で苦笑しながら必死で絵柄の特徴を確認し、描き手の特定を試みる。
「･･･石･･･先生？」

僕が初めて新都に来た日――みんなが自由に漫画を描き、そして読者がいるこのサイトをワクワクしながら見て回っていた日――そこに「3N」という漫画があった。
（すごいなこの漫画･･･普通に面白いしちゃんと漫画になってる･･･キャラも立ってるし絵も上手いし女の子もかわいい･･･可愛い男の子はいないけど･･･）
当時連載していた作品達の中でもひときわ輝くその漫画に、僕はすっかりファンになっていた。
そしてそれから石先生の漫画を見続け、尊敬し続けていた僕は知らず知らずのうちに石先生は僕の手の届かない場所にいる、かかわることのできない自分物なんだ。
そう感じていた。

（そんな石先生から･･････FAが･･････）
僕の漫画に対して絵を送ってくれている･･･確かにpixivでFA描けと要求したけど僕にFAを送ってくれている･･･
この絵を見た瞬間、僕は仕事の疲れなんて忘れていた。溜め込んでいるはずのストレスも忘れていた。ただ単純に心から石先生に伝えたい言葉が頭を離れなかった――――
――――ありがとう。

書籍化決定

一際輝くくそ漫画に見えた